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大根を千六本に切る


 料理の本に「大根を千六本に切る」と書かれていることがよくある。
 何故「千六本」でなければならないのか。
 江戸の川柳に
   五百三本に切る下女  というのがある。
 料理が下手といっているに過ぎないのだが、大根を五百三本に切ること自体大変なことである。
 大根の切り方にはいろいろな方法があり、「桂むき」もその一つで素人は結構苦労する切り方である。しかし、「千六本切り」は日常的な切り方で、その数字にこだわっているのではない。ただ細い棒状に切ればいいのであって、それも刺身のツマのような細さが求められているのではない。
 現在の料理学校では、4cmの長さで2mm角のマッチ棒のような形に切ることを「千六本切り」の基本としているようだ。だがこれは形式的指導法であって、単に乱雑な「千切り」ではないこと、そのためには訓練が必要だといっているに過ぎない。

 「千六本」という数字にこだわった調理法ではないのであって、「千」も「六本」も、古代中国の調理方法に由来する言葉である。

 まず「千」は、繊(シェン)であり、繊維にそって細く切ることから来ている。
食べ物には、肉であれ魚であれ植物であれ、必ず特有の「繊維」を持っている。その繊維にそって切ることを「繊(シェン)」といった。これとは別に繊維を断ち切るようにすることは「断(ダン)という。
 切り方によって食感が違うのである。それを試すのには「スルメイカ」や「ホタテガイ」の刺身が手頃である。どちらが上等かではなく、好き好きではあるが、口当たりがまるで違うから面白い。
 繊維にそうに切れば歯ごたえがあり、繊維を断つとやわらかく仕上がる。また、火の通りをよくしたいときには、繊維を断つように切るとよい。

 つぎに「六本」だが、中国語で大根を意味する「蘿蔔(ロポ)」に由来する。
江戸時代には「蘿蔔」という呼称はすたれ、「大根」と呼ばれていたが、室町時代ころまでは「大根」と「蘿蔔」は併用して使われていた。
 ついでではあるが、「大根」という名詞は、純粋な和製漢語であり、中国語圏では通用しない。

 すなわち、「千六本」は「繊・蘿蔔(シェン・ロポ)」であり、大根の繊維にそって細く切った調理法を意味した。

 大根の切り方といえば、タクワンの切り方で「関東風」と「関西風」がある。
 丸く横に輪切りにするのが「関東風」であり、拍子木のように縦に棒状に切るのが「関西風」である。この習俗の歴史については別の機会とする。


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